本気で結婚したいと思ったとき、その奇跡は起こった

そのとき私は二十代後半でした。結婚したいという気持ちは全くなく、遊ぶのに一生懸命で、貯金しようという発想すらありませんでした。

ただ、彼女は欲しかったので、ナンパしたり合同コンパに参加したりは、よくやっていました。

そんなある日のこと、ある女性と出会ったことが、その後の私の人生を大きく変えることになったのです。

もちろんその女性とは、のちに私と結婚することになる、今現在の私の妻です。

妻とはある合同コンパで出会ったのですが、出会った瞬間の「一目惚れ」というわけではなく、第一印象はお互いに薄かったという感じでした。

ところがいつの間にか意気投合し、その日のうちに、「あなたのことが気に入った」と、私の方からはっきりと口に出してしまっていたのです。

実はこのとき、他の女性と付き合っていたのですが、初対面の女性にいきなり告白してしまうなんて、父親譲りの浮気症が顔を出していたのでしょうか。私の父は、私がまだ幼い頃に、浮気をして母と離婚し、私は母に育てられました。

しかしそれから間もなく、その女性とは別れ、妻との交際が本格的にスタートしました。交際中は、何故か浮気をする気が起きませんでした。

今ではすっかり尻に敷かれていますが、そのとき既に主導権を握られていたからだと思います。それから二年後、二人の間には、結婚という雰囲気が盛り上がっていました。ところがいざ結婚となると、困った問題に直面することになりました。そう、私には結婚資金がなかったのです。

当時はまだ、結婚は家と家との結びつきという考え方が主流だった時代で、きちんとした儀式が絶対不可欠という風潮が幅をきかせていましたから、まとまったお金が必要でした。

それまで全く貯金してこなかった私に、そんなお金が出せるはずもありません。その当時、私は親元を離れ一人暮らしをしていましたが、実家の母親にもそんな蓄えはなく、結婚を諦めるしかないのだろうかとさえ、思うようになりました。

そんなある日のこと、幼い頃に離れたままになっていた父親が、交通事故で亡くなったという知らせが飛び込んできました。

一応葬儀には参列しましたが、父親との思い出はほとんどなく、家族を捨てた悪い男だという思いも少し残っていましたので、涙も出ませんでした。しかしその直後に、その奇跡は起こったのです。

父は浮気者でしたが、お金にもルーズで、よく借金をしていました。そのことで私の母は、よく泣かされたと聞いています。

亡くなる直前もその悪い癖は治っていなかったらしく、多額の負債を抱えているかも知れないということでした。もしそうだとすると、実子である私には相続権があり、それを行使したら、その負債が降りかかってくることになります。それを避けるには相続放棄をするしかありません。

ところが父は、生命保険に入っており、その保険金で負債を全て返済しても、まだ残ることがわかったのです。それは、結婚資金には充分な額でした。

まさに奇跡的な出来事で結婚資金を手に入れた私は、妻に正式にプロポーズしました。一度は私たち家族を捨てた父でしたが、最後にこんな形で「父親らしいこと」をしてくれたんだと思いました。お陰で今は、幸せに暮らしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>